〜国道1号線踏破(5) 富士・箱根編〜
(2010年05月02日〜2009年05月04日)

前回の静岡までで静岡県内における国道1号線のバイパス扱いの現実を見てきた。端的に言えば、静岡県にとって国道1号線とは県内を素通りするための道であり、高速道路代を払いたくないケチが市街地で排ガスだけ出して通りすぎるくらいならば、いっそのことバイパスとして郊外を流してしまった方がいいという発想になっているのである。そういう意味でバイパス化は理にかなっているのではあるが、ここに一人、国道を歩いてみたいと思っている男がいるわけで、そういった人間にとってバイパスは道の魅力も徒歩の魅力もない酷道であり、日本の道路行政の現実をぶつけられた。今回はその静岡市から箱根を越えて小田原まで。神奈川県に突入する。


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今回の旅マップ

1.静岡から新蒲原

いよいよスタート地点までの道のりが遠くなる。今回は少し早く目が覚めてしまったので午前3時半起床。三ノ宮駅から普通電車5:05発で新大阪へ。新大阪から6:03発の新幹線に乗り換えて名古屋へ。名古屋からは在来線を乗り継いで静岡駅に10:00着。ここまでの道のりが既に小旅行並みになっている。

前回のゴール標識となった静岡駅前の181キロポスト。まずはこれを探してみるのだが、全く見つからない。どうやら駅前工事の段階で撤去されてしまったらしい。シケたスタート地点である。駅前から国道1号線は北東へ延びる。

清水区のあたりで真北へ折れて、興津のあたりで静清バイパスと合流する。興津は東海道の興津宿があったところだ。昔はきれいな海岸線が続いていたようだが、今は埋め立てられて国道が走ってしまいそっけない。そういえば神戸の灘のあたりも国道2号線が走っているところはほぼ海岸だった。文明って美しいものをどんどん破壊してる。

興津を過ぎると「さった峠」があって、そこから富士山まで見えるらしいのだが、この日はモヤがかかっていて富士山も見えそうにないのでそちらには行かないことにした。さった峠からの国道・高速の交差と富士山を1枚にとらえた写真はよく目にするのだが、この高速の高架下にはホームレスが住み着いているので歩いてみるとなんともムードが無いところではある。

さった峠を越えてしばらくいくと由比宿。ここまで順調にキロポストを見つけることができてきたのだが、ここから歩道がなくなってしまいには歩行禁止になってしまった。またやられた感がある。ということで由比宿の旧東海道を歩く。本陣跡が公園として公開されている。ここは少し宿場町の雰囲気を観光に取り入れている地域であった。

その後は途中から高架になっている富士由比バイパスの下を歩きつつ、ときおりキロポストが見えたらカメラに収めていく。今日は新蒲原で終了となった。残り154キロを切ったあたりである。

新蒲原駅は駅前にスーパー(マックスバリュ)があるものの宿らしきものはないので、電車で2駅の富士駅まで向かって駅前のスーパーホテルに宿泊。富士駅前は悲惨な状況であった。というのも駅から徒歩3分のところにあるイトーヨーカドーは数ヶ月前に閉店。駅前商店街は物悲しいほどの淡白なアナウンスで「○○洋服店は全力でみなさまのファッションを応援します」といったPRを放送していて、駅前は居酒屋だけが営業してる状態。やむなく駅のキヨスクでギリギリ残っていた弁当類を買うことができたが、これほど閑散とした駅前とは想像だにしていなかった。新幹線こだまが止まる新富士駅とは少し離れているため東海道本線とて利用者は少ないのだろう。スーパーホテルも歯ブラシは置いてるくせにカミソリは100円とか妙にケチくさい商売をしていて、シャワーもパッキンが古いのかキーキー鳴ってあまり快適ではなかった。

静岡駅前
静岡駅前スタート

興津宿「興津坐漁荘」
興津宿「興津坐漁荘」

由比で道がなくなる
由比で道がなくなる

由比宿「由比本陣公園」
由比宿「由比本陣公園」

新蒲原駅
新蒲原駅

富士駅の潰れたイトーヨーカドー
富士駅の潰れたイトーヨーカドー

2.新蒲原から三島

2日目は9時に新蒲原からスタート。もうキロポストは見れたら撮るぐらいの気分で歩いていたが、このあたりはずっと高架でしかも高架下に道すらない酷いもので、さらには地道もぐちゃぐちゃで迷った。正直歩いてきた中で一番めんどくさい地域だ。富士由比バイパスが尽きて沼津バイパスになったところから歩道が付いていた。特に見るべきものもないので左手に見える富士山ばかりを眺めつつ、三島市に突入。そのまま118.9キロ地点で2日は終わりになった。

三島駅北口の東横インに泊まる。昨日のスーパーホテルに比べて部屋も快適だし、会員の宿泊料金も安かった。ただ、北口は新幹線の改札はあるけど、南口に周る自由通路がないので少し東の高架下をくぐらないといけないのが面倒ではある。

富士駅からの富士山
富士駅からの富士山

田子の浦あたりからの富士山
田子の浦あたりからの富士山

沼津あたりからの富士山
沼津あたりからの富士山

伊豆箱根鉄道
伊豆箱根鉄道

謎の看板「オードムーゲ」
謎の看板「オードムーゲ」

3.三島から小田原

3日目。今日はいよいよ箱根を越える。予定では35キロぐらいだろうという想定である。前日の118.9キロ地点から午前8時45分にスタート。少し寝坊した。

三島を出るとすぐに登り坂が始まる。歩いているとそうでもないが車でなら結構な勾配のはずだ。だいたい3時間ほどで箱根峠まで行き着くことができた。ちょうど101キロ地点である。想定よりわずかに時間がかかったが範囲内だろう。箱根峠を越えると箱根の街が見えてくる。すぐに箱根新道との分岐点であるが新道は自動車専用なので旧道となるほうの1号線へ。市街地を巡るルートだ。で、ちょうどお昼ということもあったので道の駅で昼食。ゴールデンウィークということもあってかずいぶんと混雑していてうどん一つ出てくるのに20分かかった。時間のロスである。

道の駅を出てから下り道。しばらく行くと「20」という標識に出くわしたが、特に気にするでもなく歩いていた。で、キロポストがあったので撮影すると「109」。そのときは気づかなかったが、考えてみると先に通り過ぎた箱根峠が「101」である。増えてる。つまり、箱根新道ができたことで東京・大阪間が8キロも節約されているのである! そして、この旧道のほうは新道と再び合流するまで20キロ先ということなのである。これは誤算であった。これまで見てきた東京まで○キロ、小田原まで○キロという標識は新道を通った場合であり、旧道を通るのであれば8キロ分加算しなければならない。今日の行程は43キロなのだ。8キロというのは歩けば1時間半。もともと35キロを8時間で歩く予定だったところに1時間半加算するとなると、到着予想は18時半である。そうなると帰りの電車がギリギリになってくる。危険。

箱根市街はゴールデンウィークを満喫する観光客でごった返していたが、そんなもの気にしている場合ではない。箱根関所も見ている場合じゃない。とにかく急がないといけない。別にもっと遅い電車で帰ることもできるのだけれど、その分新幹線に乗る時間が増えるから高いってだけなのだけれど。

とにかく歩きに歩く。箱根の宮ノ下温泉を越えたあたりから上り車線は渋滞になった。で、渋滞している車より早く歩く。実は足が疲れてきてるので走るのは辛いのだけれど、とにかく歩いた。箱根湯本駅に5時ごろ到着。渋滞は解消されたようだ。そして箱根新道との合流。ここからまだ5キロほどある。あと1時間。

小田原市街はお祭りらしい。御輿の準備が着々と進められている。そして小田原市民会館前の交差点で残り84キロの標識を見つけてゴール。

小田原駅ではまず、帰りの乗車券をみどりの窓口で買う。ギリギリになる可能性があったからだ。観光案内所は既に閉まっていたので銭湯は探せず、駅近くの万葉の湯で汗を流した。時間があまり無いので30分だけ。でも1200円もした。温泉に浸かりながら帰りのルートを考える。最安ルートではすぐの電車に乗って掛川まで在来線で行ってから新幹線に乗る。だが、沼津〜静岡間は指定席のホームライナーに乗らなければならない。ホームライナーの整理券は小田原駅では買えなかった。というのも沼津駅内の整理券券売機でないと買えないのだ。しかも整理券は座席数しか発売されないので売り切れると乗れない。立ち席は無いのだ。沼津に着くのは乗り換える5分前なので整理券が残っているかは賭けになる。無ければ三島まで戻って、そこから新幹線に乗る。だが、三島から新幹線に乗る場合は1時間ほど余裕ができるので、今から急いで三島に行かなくてもよい。少しゆっくり疲れを取ってから、余裕を持って三島へ向かってもよいのではないか。買えるか分からない整理券のために今すぐ風呂を出るか、確実に帰れるけど少し高いルートを選ぶか。頭の中での葛藤であったが、これまでゴールできるか分からないようなルートを賭けで歩いてきた。ここもチャンスを信じてみる意味はあるのではないか。従業員が遅いのでイライラしたが、電車の出る3分前に清算して建物を出て、走って駅へ。滑り込みセーフで沼津行きの電車に飛び乗った。あれ?走れた。温泉に入ったら足の疲れもすっとんだらしい。電車の中でどっと汗が出た。

時期はゴールデンウィークである。電車を利用する人も多いかもしれない。かなりリスクのある賭けではあった。沼津に着いて整理券の販売機に並ぶ。数人並んでいたが最初の2人ぐらいで売り切れてしまった。あっさり負けた。これでは在来線で帰れないので、三島まで戻る。三島から京都までの新幹線に乗ることになった。弁当買って三島駅で40分ほど待たされた。これなら温泉にちょっと長くつかってもよかったのかもしれない。後悔か。いや、チャンスを求めて走った。それで負けた。十分だと思った。もしかしたら買えていたかもしれないのに最初から諦めたときの後悔よりは、比べ物にならない。

三島から名古屋までこだま。名古屋でのぞみに乗り換えて京都へ。京都から在来線で三ノ宮に着いたのは0時24分であった。

胸キュンな寅さんの看板
胸キュンな寅さんの看板

箱根峠
箱根峠

道の駅「箱根峠」
道の駅「箱根峠」

箱根市街と旧道区間17km
箱根市街と旧道区間17km

箱根(宮ノ下)のあたり
箱根(宮ノ下)のあたり

小田急(ロマンスカー)
小田急(ロマンスカー)

小田原の御輿
小田原の御輿

万葉の湯
万葉の湯

小田原駅
小田原駅

4.今回のキロポスト

180キロ 179キロ 178キロ 177キロ
180キロ、179キロ、178キロ、177キロ

176キロ 175キロ 174キロ 173キロ
176キロ、175キロ、174キロ、173キロ

172キロ 171キロ 170キロ 169キロ
172キロ、171キロ、170キロ、169キロ

168キロ 167キロ 166キロ 165キロ
168キロ、167キロ、166キロ、165キロ

164キロ 163キロ 162キロ 161キロ
164キロ、163キロ、162キロ、161キロ

160キロ 159キロ 156キロ 155キロ
160キロ、159キロ、156キロ、155キロ

154キロ 153キロ 152キロ 150キロ
154キロ、153キロ、152キロ、150キロ

149キロ 148キロ 147キロ 146キロ
149キロ、148キロ、147キロ、146キロ

139キロ 138キロ 137キロ 136キロ
139キロ、138キロ、137キロ、136キロ

135キロ 134キロ 133キロ 132キロ
135キロ、134キロ、133キロ、132キロ

131キロ 130キロ 129キロ 128キロ
131キロ、130キロ、129キロ、128キロ

127キロ 126キロ 125キロ 124キロ
127キロ、126キロ、125キロ、124キロ

123キロ 122キロ 121キロ 120キロ
123キロ、122キロ、121キロ、120キロ

119キロ 118キロ 117キロ 116キロ
119キロ、118キロ、117キロ、116キロ

115キロ 114キロ 113キロ 112キロ
115キロ、114キロ、113キロ、112キロ

111キロ 110キロ 109キロ 108キロ
111キロ、110キロ、109キロ、108キロ

107キロ 106キロ 105キロ 104キロ
107キロ、106キロ、105キロ、104キロ

103キロ 100キロ(旧道) 88キロ 87キロ
103キロ、100キロ(旧道)、88キロ、87キロ

86キロ 85キロ 84キロ
86キロ、85キロ、84キロ

旅のノート

5/210:00静岡市 残り181.0キロからスタート
 17:00富士市 残り154キロ スーパーホテル泊
5/39:00富士市 残り154キロからスタート
 17:00三島市 残り118.9キロ 東横イン泊
5/48:45三島市 残り118.9キロからスタート
 18:30小田原市 残り84キロでゴール
 24:24帰宅