〜鳥取・妖怪とコナンと砂丘の旅〜
(2009年03月20日〜21日)

日本経済の迅速なる景気後退を受けて麻生政権が出した景気刺激策「定額給付金」。世論の評価は厳しいが、私は大いに期待している。そして、まだ給付されてもいないのにさっそく旅を敢行したのだった。今回は青春18切符を使って山陰は鳥取へ。会社の同僚を誘った1泊2日ツアーは移動+宿で12,800円という格安。

1.三ノ宮→米子

三ノ宮駅の集合時間は6:15。こんな朝早くからきちんと集合できるみんなは偉いと思う。遅刻しようものなら即刻、新幹線で岡山まで追いかけて来てもらおうと企んでいたのだが、そういう人はいなかった。ただ、一人が体調不良で不参加となった。

三ノ宮からの快速電車は残念ながら満席。この時間でも都市圏は普通に乗客が乗っている。旅というよりは通勤といった感じしかしないのだ。姫路で乗り換えて岡山へ向かうまで、座ることは出来なかった。

岡山駅では乗り換え時間があったのでトイレ休憩とともにビールなど今後の物資を買い込む。やはり電車旅にはビールが欠かせないもの。そう思っているのは私だけのようだが、男どもはみなビールを買い込んでいた。次の乗換駅となる新見までの1時間半で2缶を干した。

今回の旅はグループ旅行でもあるので、車内でどう過ごすかをちょっとだけ考えた。その結果、持ってきたのがトランプ。最初はババ抜きをして、それからは大富豪。岡山から途中の新見駅に到着するまでの間、楽しんだ。なんだか学生旅行のような気分で懐かしい感じ。大学のときの卒業旅行で紀伊勝浦に行ったが、そのときも特急列車のなかでひたすらトランプをして遊んでいたように記憶している。去年、大分県日田の旅で乗った久大本線の車内では大学生とおぼしきグループがトランプに興じていた。通路を隔てた反対側で私は酒を飲みながらその若気に感慨を得ていたのだが、そういうグループ旅行特有の一体感というか、雰囲気というものに久々に浸ることができた。大人数で来て良かったと、この旅における目的は達成できたという満足感を得た。

新見につく頃にはお昼にも近くなってきたので、駅で昼食になるようなものを買い込むことにした。が、駅のキオスクには鯖寿司しかなく、駅前も駅弁のようなものを扱っている店はないようだったので、これに決まった。鯖寿司は鯖一匹をまるごと使い、中に酢飯を詰め込んだシンプルかつ大胆なもので、簡易ナイフはついているが切り込みはない。さんざん苦労して一口大に切り分けた寿司は、でも美味しかった。車内で大はしゃぎする一行と、プンプン匂いを出す鯖寿司に周りの乗客も興味を持ったようで、写真を撮ってくる年配の人もいた。このへんは鯖寿司で有名らしい。というか山陰全般に鯖エリアなんだろうなぁ、出雲でも食べたし。

そうやって一人あたりの分量では少ないものの、一応の昼食を終えた一行は終着米子駅に到着するまでウトウトしていた。私は車窓から外を眺めていた。

姫路〜岡山間
姫路〜岡山間

新見駅の鯖寿司
新見駅の鯖寿司

2.米子→境港

米子に到着したのは13:02。実に6時間あまり揺られてきたことになるわけだが、ここからさらに境線に乗り継いで、境港駅へ向かう。境線は一つ一つの駅にゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪の名前がつけられており、米子駅は「ねずみ男駅」。終点境港駅は「鬼太郎駅」となっている。一つ一つの駅で若干長めの停車を行っているのだが、これは降りて写真を撮れるようにしているというわけではないようで、単純に単線なので往来する列車との時間調整になっているらしかった。米子から境港までは45分かかる。ここでもみんな寝ていた。私も少しだけ寝ていた。

鬼太郎列車
鬼太郎列車

ねずみ男
ねずみ男

境港駅(鬼太郎駅)
境港駅(鬼太郎駅)

3.境港・水木しげるロード

境港は水木しげるの幼少期を過ごした土地でありふるさとなので、ここは今、水木しげるを全面に打ち出した観光スポットになっている。駅前から1キロほどのところに水木しげる記念館があるが、そこまでの商店街が水木しげるロードと名付けられて、街路に100体以上の妖怪が飾られているのだ。駅前も妖怪のオブジェがあったりとさながら妖怪村。とはいえ一つ一つはとても小さいので夜でもそれほど怖くはないのだろうと思う。ひとけがない寂しさはあるのだろうけど。

この日は3連休の初日ということもあって親子連れや若いカップルも多くいた。ねずみ男や鬼太郎のかぶり物も町を闊歩していて行く先々で記念撮影を迫られていた。これが夜歩いていたらそれは不気味なんだろうと思う。

水木しげる記念館は子どもも大人も楽しめるような感じで、妖怪の展示をしていた。水木しげる氏は幼少期におばあさん(のんのんばあ)から妖怪にまつわる話を聞き、徴兵で戦地に送られて間一髪のところで生き残って終戦を迎えた。そのときに片腕を無くしたが、復帰後は貸本で生計を立てていて、そのころに妖怪ネタでゲゲゲの鬼太郎を生み出したそうだ。それにしてもよくこれほどたくさんの妖怪を生み出すことができるものだと感心してしまったが、そういえば私も小学生のときには妖怪?風なキャラクターを創作して遊んでいたもの。今となってはさっぱり忘れてしまったが、僕秩もキャラクターでやってるところがあるし、ゆるキャラなどもあって、最近のキャラクタービジネスは儲かるんだろうなあ。

水木しげるロードにはたくさんの商店が軒を連ねているが、鬼太郎にあやかろうとさまざまな趣向を凝らした店が多いながら、普通に営業している雑貨屋などもあった。そういうお店は昔からあって「今さら鬼太郎なんてキャラクターで売り出していくのもどうか」という半ば否定的な店主なのかなあとも思った。皆がそうではないのだろうけれど、やはり地域を挙げての観光は全員がテーマへの理解をすることは難しいのだろう。それでもこのロードは観光地としては成功しているほうだと思った。私は特段のお土産を買うことはなかったが、なぜかポテトチップを買っていた。

鬼太郎
鬼太郎

目玉おやじ
目玉おやじ

着ぐるみさんたち
着ぐるみさんたち

妖怪神社
妖怪神社

4.大山ロイヤルホテル

ゆっくり沿道の写真を撮りながら駅まで戻り、一行は再び境線で米子へ。そこで大山ロイヤルホテルの送迎バスに乗り込んだ。今日の宿。できるだけ安く仕上げるために旅行会社で健康保険の補助金制度を利用して申し込んだ。本当は近くの皆生温泉が良かったのだが、残念ながら空きが無かった。ただ、大山ロイヤルホテルは米子駅からの送迎もあるし、温泉もあるので結果としては良かったと思っている。

今日の夕食はカニ鍋。ということだったのだが、5人でカニ5杯。これが結構多くて食べるのが大変だった。他の客が食事処を出て行く中、私たちは必至に食べていた。別に残しても良かったのかもしれないが、捨てるのは良くないという気持ちもあったのかもしれない。食べながら、だんだんと食べるのが面倒になってきたし、みんなも疲れてしまっていたので、個人的にはもうどうでもよいくらいの気分になっていた。結局、2時間以上も戦い続けていたので、この日は食後ほとんど何もできなかった。少しだけゲームセンターで遊んでから寝てしまった。

翌朝は気を取り直して、朝食はバイキングだったが、昨晩の食事もあり、それほど多く食べる必要もなかった。送迎バスと電車の都合でチェックアウトは少し早め。

大山
大山

大山ロイヤルホテル
大山ロイヤルホテル

5.北栄・コナンロード

2日目は米子駅に戻って、山陰本線で東に向かう。ここからは帰りのルート。米子まで6時間余り電車に乗ってきたので、帰りも6時間以上かかる。米子から鳥取に向かう途中の由良駅周辺はアニメ「名探偵コナン」の作者である青山剛昌の生誕地なので、やはりコナンロードなる道があった。これは当初の計画にはなかったのだが、調べてみるとあったので予定に加えた。

コナンロードの終点にもやはり青山剛昌ふるさと館があるのだが、この3月21日は記念館がオープンして2周年ということでイベントをやっていて親子を中心に人出が多かった。コナンの着ぐるみがステージで子どもたちの目線を浴びる中、私たちは記念館を一通り見学。それにしても鳥取は漫画家が生まれやすい土地なのだろうか? でもってキャラクターロードが流行っているのだろうか? いずれにせよ地域が盛り上がるというのは良いことなのだが、残念ながらコナンロードは像があるものの沿線は田んぼやら住宅やらで商業として盛り上がっている感じは殆どしなかった。まだ2年ほどの試みであり、全国的にも有名になっていないからだろうか。ここも何年か後にはコナンショップやらコナンにあやかったカフェが並ぶのだろうと期待したい。まず駅前の沿道を綺麗に整備する必要がありそうだ。

ただ、鬼太郎は今や老若男女が知るキャラクターだが、コナンは大人にはちょっと合わないかもしれない。私が中学生ぐらいのときにテレビアニメが始まったので、コナンファンも20代がせいぜいといったところ。青山剛昌氏がコナンをいつまで続けるのか分からないけれど、世代を超えて親しまれるアニメにならないと全国区での集客も大変なんだろうと思う。コナン自体は私も純粋にけっこう好きなアニメの部類に入るのだが、何十年も事件を解決するだけのアニメが流行り続けるものだろうかとも思う。ルパン3世はそういう意味で魅力を保ち続けているアニメだ。ルパンは大人の事情が多分に含まれている面がある。

記念館から駅前までは歩いて20分強といったところなので、ゆっくり歩いていると電車に乗り遅れてしまう。このあたりは電車が1時間半に1本ぐらいしかないので、乗り遅れると取り返しがつかない。一番コナンにはしゃいでいた一人が電車に乗り遅れそうだったが、九死に一生を得てなんとか間に合った。

コナン1
コナン1

コナン2
コナン2

着ぐるみさんたち
着ぐるみさんたち

新一
新一・図書館前

6.鳥取・鳥取砂丘

列車の旅ではどう乗り継いでいくかが重要なので、事前にすべて調べ上げて、さらには万一乗り遅れたときのリカバリー手段まで考えている。だが、ここ山陰は本当に電車が少なくて、しかも今回は青春18切符なので特急を使うこともできないため(運賃を別払いすれば乗れるが)時間厳守なのだ。乗り換えのときは何分間の余裕があるかも調べて買い出しが必要になる。そういうわけで由良の先、倉吉では30分ほどの乗り換え待ちがあったので、昼食となる駅弁とビールをまた買い込んでいた。

駅の売店では、鯖寿司とカニ寿司しか置いていなかった。どっちも昨日食べた食材。カニに至ってはもがき苦しみながら食べたものであったが、どっちかというとカニ寿司のほうが美味しそうに見えたのでこっちにした。きちんと落ち着いて食べればカニも美味しいのだ。

鳥取駅に着いて、そこから路線バスで砂丘へ。30分に1本くらいのペースで運行していて、乗っている時間も20分くらい。

鳥取砂丘は昔、山陰を車で来たときに寄ったことがある。もう8年くらい前なのだが、そのときから、山の形も窪地の形も変わっていなかった。不思議だ。定期的に砂を持ち上げているのだろうか。大人になってみると物事が妙に冷静にしか捉えられなくなってしまっているのだが、砂丘もまた海岸の砂浜が広がっただけといった冷めた見方もできる。ラクダはいるけれども、砂漠ではないのだ。砂漠と砂浜の違いは曖昧なのだけれども。ただ、砂山を登るのにこれほど体力(足の力)が必要だとは思わなかった。踏み込んでも靴が砂に埋まってしまうので思うように進まない。結果、這いつくばるように登ったり、無駄に足を動かしたりする必要がある。これが本当の砂漠だったら、たぶん干からびるよりは体力が持たずに死ぬだろうと思う。

ここが巨大な砂場だと思えば、そして傾斜のある砂丘であるから、力一杯走ってみたくなる衝動に駆られたとしても、自然な摂理だと思う。殆どそういうことを実践する人はいないのだけれど、しっかり走ってずっこける姿を見せてくれた一同には感謝の意を表したい。結果として砂丘のどこかに携帯電話を落としてしまうという由々しき事態に陥ったとしても。携帯電話は必至に探してみたけれども、やはりここが砂漠のような広大な砂場であることに変わりはなく、結局見つかることはなかった。こういうアクシデントには全力で立ち向かうのだが、帰りの電車の時間もあったので捜索は途中で諦め、駅へもタクシーで急ぎ戻ることになった。

カニ寿司
カニ寿司

鳥取砂丘1
鳥取砂丘1・人が蟻んこみたい

鳥取砂丘2
鳥取砂丘2

鳥取砂丘3
鳥取砂丘3・飛ぶ人

鳥取砂丘4
鳥取砂丘4・転げ落ちる人

ぬりかべ
ぬりかべ・こんなところにも余波が

7.鳥取→三ノ宮

鳥取からは帰りのルート。2日だけの旅行だけれど、いつもの週末とは違う長い時間を過ごせたように思う。どの旅行のときもこれは感じる。家に閉じこもっているよりも外へ出たほうが時間は長く感じる。でも、退屈な時間ではない。だから旅行に行きたいと思う。

山陰本線で豊岡まで向かう。途中には餘部橋梁がある。上からだとそのスケールは一部しか感じられない。隣には着々と新しいコンクリート製の橋が建設中であったが、まだ橋脚も出来てない。途中で城崎温泉があったのだけれど、通過することにした。

豊岡からは和田山まで向かい、ここから播但線で姫路へ。残念なことに和田山の売店はすでに閉店してしまっていて、周辺の商店も閉まっていたので弁当すら買うことができなかった。次の乗り換えである寺前もまた何もない駅。ということで夕食を買うことができなかった。これほど何もない駅になってしまうことは考えておらず、今回の最大の失敗である。昨日買っていたポテトチップが夕飯代わりとなった。

全体としてはすべてスケジュール通りに進めることができて、個人的には満足しているが、他の人はどうだったのだろうと思ったところ、時間管理を気にしなくて良かったということで評価は良かったようだ。時間に厳しいと面倒がられるものだと考えていたので、意外な反応に驚いた。姫路駅で聞いたら皆一様に疲れたようだが、私は疲れるどころかこのまま別のところへ行きたい気分になった。だが、旅はいつも終わりがあるし、終わらせないといけない。姫路で新快速に乗り換え、そんなことを考えながら三ノ宮に向かっていた。

帰りの列車
帰りの列車・鳥取駅から浜坂まで

餘部鉄橋
餘部鉄橋・上から見た感じ

旅のノート

3/20三ノ宮06:27 
  東海道山陽本線快速
 姫路07:30 
 姫路07:32 
  山陽本線
 岡山08:58 
 岡山09:18 
  山陽本線伯備線
 新見11:00 
 新見11:17 
  伯備線
 米子13:08 
 米子13:32 
  境線
 境港14:17 
 
 水木しげるロード  
 水木しげる記念館  
 
 境港16:47 
  境線
 米子17:30 
 米子17:30 
  送迎バス
 大山ロイヤルホテル18:00 
 
 大山ロイヤルホテル 
 
3/21大山ロイヤルホテル08:30 
  送迎バス
 米子09:00 
 米子09:27 
  山陰本線
 由良10:36 
 
 コナンロード  
 青山剛昌ふるさと館  
 
 由良12:19 
  山陰本線
 倉吉12:29 
 倉吉13:02 
  山陰本線
 鳥取13:52 
 鳥取14:10 
  バス
 鳥取砂丘14:32 
 
 鳥取砂丘  
 
 鳥取砂丘16:00 
  タクシー
 鳥取16:15 
 鳥取16:22 
  山陰本線
 浜坂17:06 
 浜坂17:21 
  山陰本線
 豊岡18:34 
 豊岡18:37 
  山陰本線
 和田山19:12 
 和田山19:35 
  播但線
 寺前20:29 
 寺前20:43 
  播但線
 姫路21:27 
 姫路21:37 
  東海道山陽本線新快速
 三ノ宮22:16